【連載企画】第36回 CCAJスタディーツアー フィリピン視察レポート② KMC〜「オフィス×人材×労務」を一気通貫で支援するフィリピン最大級のBPOパートナー〜
先進的かつ特徴ある海外のコンタクトセンター/コールセンターの事情を学び、
自社センターの運営等に役立てることを目的に、CCAJ(旧JTA)が任意団体として設立した当初より、毎年実施してきました。
ツアー開始当初は、欧米の「コンタクトセンター/コールセンター」先進事情を学ぶことに主眼を置いていました。
しかし、現在では日本も欧米と肩を並べるまでに成長したことで、参加者(企業)の目的がより深化した情報収集へと変わり、
毎回、活発な質疑応答が行われ、有意義な内容となっております。
また、普段接する機会の少ない他社の方と、同じ時間を共有するといった
“企業の枠を超えた参加者同士の交流”も本ツアーの魅力となっています。

視察の特徴 (3つの学び)
1. 最新情報の収集
センター運営責任者によるレクチャーと稼働中のセンターを見学し、具体的な話を聞くことができます。
2. 参加者の視野拡大
異なる環境・文化などから新たな運営方法・考え方に触れることができます。また、視察のレポートを他社の方と意見交換しながら共同で作り上げます。
3. 情報交換・交流
他社の参加者と共に過ごし、様々な情報を交換することが良い刺激になり、
帰国後も交流が継続します。

URL:https://ccaj.or.jp/event/studytour.html
本記事は、2025年の海外視察レポートをもとにした連載企画の第2回です。
今回は、KMCについて解説します。
KMC(KMC Solutions)とは?
KMC(KMC Solutions)は、フィリピンの主要ビジネス地区でコワーキングスペースやプライベートオフィスを提供しながら、外資企業のオフショア拠点立ち上げを総合的に支援する
IT-BPM(IT およびビジネス・プロセス・マネジメント)企業である。
オフィス提供に加え、採用・労務・法務・ITインフラまでを一気通貫で担う
「ワンストップ型BPOパートナー」として、世界400社以上の企業から選ばれている。

フィリピン最大規模のオフショア支援基盤
事業内容
KMCは、マニラ首都圏・セブなど主要ビジネス地区で、設備の整ったコワーキングスペースやプライベートオフィスを提供し、外資企業の迅速な拠点立ち上げを支援している。
さらに、オフィス提供に加えて以下のBPO支援サービスを展開する。
・現地人材の採用給与計算
・労務管理法務
・認可手続き福利厚生・税務対応
・スタッフリーシング(専任人材の配置)
「オフィス × 人材 × 労務 × 法務 × IT」を一体化した総合支援モデルが、
フィリピン進出の再現性を高めている
顧客構成
・グローバル顧客数:400社以上
・主な地域:米国、欧州、オーストラリア、シンガポール
・日本企業:現在2社と契約し、連携を拡大中
運用体制
・クライアント専任従業員:6,000名
・国内拠点数:30拠点
・CX領域の大手企業ZOOM社には専任1,000名を配置
特色
①採用力:平均30日で採用完了するスピード
KMCは、テック/ノンテック双方の採用に対応し、平均採用期間は30日。
特に近年は、IT-BPM領域の拡大に伴い、
サイバーセキュリティ関連職種の採用需要が急増している。
この採用スピードは、「まず小さく始めて、学習し、勝ち筋が見えたら拡大する」
という現代的な海外展開戦略と非常に相性が良い。
② 高い従業員定着率:86%(業界平均60〜70%)
KMCの定着率は86%と、業界平均を大きく上回る。背景には、
・住居支援
・台風時の寮無償提供
・カラオケ大会などのレクリエーション
・社内品質管理の徹底
・福利厚生の充実
といった従業員満足度向上策がある。
結果として、クライアント満足度95%という高い評価につながっている。


③ セキュリティ・ITインフラの強さ
在宅勤務40%・オンサイト60%というハイブリッド環境でも、KMCは高いセキュリティ基準を維持している。
・就労者向けPCの提供
・オンプレミスデータセンターによる高速通信
・社内テック部門の継続モニタリング
・コンプライアンス部門による倫理教育
特に、通信インフラを自社で整備している点は、他社との差別化ポイントです。
④ 大規模運用の実績:ZOOM社専任1,000名体制
KMCはZOOM社の最大パートナーであり、専任従業員は約1,000名。
大規模クライアントのCX運用を支える実績は、同社のオペレーション品質の高さを象徴している。
⑤ 多言語対応:希少人材 × AI通訳のハイブリッド運用
英語・タガログ語以外の言語話者は極めて希少で、 6,000名中、日本語を流暢に話す社員は1名のみ。
しかしKMCは、 AI通訳 × 日本語話者 × 複数名チーム という運用モデルを確立し、
日本企業2社に対して5名以上のチームでサービス提供している。
言語障壁を技術で補完する実務的な運用が特徴。


Q1.クライアントの地域別の割合は?
米国企業が中心で全体の約70%。次いで欧州企業が多い。
日本企業は現在2社と契約し、アジア圏との連携も強化中。
Q2. 稼働時間帯は?
米国・欧州企業向けのため、夜間シフト(21:00〜6:00)が多い。
昼間シフト(9:00〜18:00)は夜間コストを抑えたい企業が選択する。
今回の視察では、フィリピンが「IT-BPM」を国家産業として強力に推進し、CX領域で世界一を目指す明確な方向性を持っていることを確認した。
人材・インフラ・費用対効果に加え、政府支援が進出の再現性を高めている。
KMCは、採用から法的雇用、ワークスペース設計、HR・給与・税務、福利厚生、スケーリングまでを一気通貫で支援する“フィリピン進出の受け皿”として機能し、採用まで平均30日・定着率86%はスモールスタート型の展開と相性が良い。要件次第でオンサイト前提となるケースや、日本語人材の希少性は留意点だが、AI通訳の活用で運用可能性は広がっている。就労環境への投資が採用・定着・品質向上に効く点も学びとなった。
総じて、KMCはコスト削減目的ではなく、IT-BPM人材を機動的に確保し、事業を迅速に立ち上げ・拡張するための“実装基盤”として捉えるべき存在であると感じました。

≪次回予告≫
次回は、世界的な監査・コンサルティングネットワーク、
PwCのグローバル業務を支える“フィリピン発の高度専門オペレーション拠点”
PwC Acceleration Center Manilaの視察レポートをお届けいたします。ぜひご期待ください。
今後のご参加・ご活用を心よりお待ちしております。
CCAJスクールスケジュールURL:https://ccaj.or.jp/ccaj_school/schedule.html
CCAJ会員交流会URL:https://ccaj.or.jp/event/kaiin_kouryu.html
CCAJ2026年度 事業活動計画記事URL:https://contactcenter-zukan.jp/?p=1402
CCAJコンタクトセンター・セミナーURL:https://ccaj.or.jp/event/contact_20260929osaka.html


