特別インタビュー:協会名改称 1 周年記念
出典:CCAJ News Vol.343(2025年10月号)
松原副会長が考える業界と協会の未来像

日本コンタクトセンター協会に名称変更して 1 年が経ちました。呉会長・松原副会長体制も 2 期目に入り、SVを対象とする認定制度の構築をはじめとした新しい取り組みも始まっています。協会と業界を牽引するお立場として、この 1 年でどのような変化をお感じですか。
AI の進歩がものすごく速くて、AI を使うことが当たり前になったことが、この 1 年で一番大きく変わったところではないでしょうか。AI 活用やデジタル化、DX の推進によって、センターの職場環境も大きく変わってきています。お客さまとの応対の情報を、かなりの精度でテキスト化できるようになったことで、VOC を活用しやすくなっています。以前から VOCは宝の山であるといわれていたものの、実際に活用するのはなかなか難しかったのですが、今はほぼリアルタイムにデータ化され、分析することができます。
お客さまの声からいろいろなことを発見したり、サービスの改善につなげたりという動きが、非常にやりやすくなってきています。
VOC の活用は重要ですね。コンタクトセンターは社会のインフラと言われていますが、お客さま一人ひとりに合わせたサービスを新しく打ち出すために、情報を収集して牽引できる業界でありますから。
もう一つが、働く環境への影響ですね。コミュニケーターや SV など働く人の負担をできるだけ軽くするシステムがどんどん進化しています。入力作業もかなり省力化されていますし、FAQ をログから自動的に生成できるようになってきています。
そういうフォロー体制が整ったことで、初めてコンタクトセンターの仕事に従事する人でも不安や負担が少なく業務できる環境になってきています。最近は特に、そういった変化を強く感じています。
コンタクトセンターは本当に多様な方々が活躍できる業界ですが、働きやすい環境が整えば、さらに多くの人に働いていただけると期待しています。
協会でも推進しているシニア雇用についてはどうお考えですか。
これまでのコンタクトセンターでは、若い人たちを多く雇用したいという傾向がありましたが、労働人口の減少による採用難もあって、比較的年齢層が高い方にもぜひ活躍していただきたいと考えています。社会的に見ても、情報や IT に関するリテラシーが上がってきていて、AI やデジタルの活用に対して抵抗感がない方が増えているように感じています。一般企業でも、定年が 55 歳や 60 歳だったものが 70 歳まで働けるところも増えてきています。
コンタクトセンターは、基本的にデスクワークで体力的な負担が少ないですし、これまでの経験が生かせる業界です。どなたでもチャレンジしやすいので、特にシニア層には戦力としてもっと活躍していただきたいと思っています。
人材の多様性に関連して女性の活躍についても伺いたいのですが、コンタクトセンターは基本的に女性がとても多く、わざわざ女性活躍と謳わなくても女性が活躍していると言える業界です。
一方で、センター長などある程度、上の役職ということになると、まだまだ活用の余地があるのかなと感じています。
協会の理事会も男性ばかりですからね。働いている方々は圧倒的に女性が多い中で、どうやってもっと活躍していただけるかを考えていかなければいけないと思います。問い合わせしてくる方も男女が半々なはずで、男性が気になるポイント、女性が気になるポイントを考慮したサービスを提供していくためにも、管理職が男性中心というのは、やっぱり良くないと思います。
当社でも、子育てをしながら働ける、産休・育休の後に戻ってきてもキャリアを継続できるといった、ライフスタイルが変わってもマイナスにはならないような制度を取り入れています。ただ、実力的には問題なくても、管理職になると仕事を休めない、休むと周りの人の迷惑になると考えて、昇格を望まない女性も多く見受けられます。そういった皆さんの心理的な負担感を軽くしていくことが重要だと考えます。
阻害要因を一つひとつ減らしていくことで、管理者あるいは管理職、センター長を希望する女性がもっと増えるように、業界全体で取り組んでいくことが必要だと思います。

いろいろな人たちが、この業界に入ってきてくれると嬉しいですが、そのためにはもっとコンタクトセンターの認知度を上げる必要があると感じていて、広報委員会でもさらに情報発信していきたいと考えています。
私も認知度を上げることはとても重要だと思っています。企業や自治体に問い合わせをした時に、社員や職員の方が応対することもありますが、私たちのようなエージェンシーが対応を任されている場合もあります。また、協会のサポート企業が人材やシステムを供給してくれることでものすごく高度な応対を可能にしていることも多いですから、そういう具体的なコンタクトセンターの実情をうまく発信できると良いと思います。
カスタマーサポートのコンタクトセンターは当たり前になってきていても、意外にその内側の事情は一般の方はご存じないかもしれないですね。
そう思います。業界の中にいる人たちは社会基盤だと思っていますが、業界の外の人たちにはなかなか伝わっていないと思います。コンタクトセンターのサービスが世の中にとっていかに不可欠なものか、そこで活躍している方々がいかに高いスキルを持って対応しているのか、そういう部分の認知度を上げていくことで、優れた人材が集まってくるような、そういう業界を目指していきたいと思っています。
コンタクトセンターは必要な存在であることをより多くの人に知ってもらうことが必要ですね。
サービスや商品を提供する側と利用する側の接点として、コンタクトのポイントはなくならないと思っています。コンタクトセンターは、困ったことを解決したい、詳しい人に相談したいといった時に利用するサービスで、私たちの生活に欠かせません。困っている状態を無くしていくことが役割なので、うまく機能すればするほど世の中のマイナスな部分がどんどん減って、人びとがもっとハッピーな活動に時間を使えるようになると思っています。
これからもコミュニケーションの方法や手段がいろいろと変わっていく中で、人によるホスピタリティや安心感、AI を使いこなすスキルなどがますます求められていくでしょう。コンタクトポイントとしての魅力を高めながら個人のスキルも上げられる、とても可能性のある仕事だと言えます。
コンタクトセンターによって、社会の困っていることの解決になっているということですね。それは、サステナビリティにもつながっていると思います。
そうですね。サステナビリティとしての社会課題の解決としては、優れた人材育成のしくみ、全国的な雇用の創出による地方活性と社会貢献、性別や年齢を問わない雇用環境、デジタルの活用といったことにもつながっています。サステナビリティへの取り組みは、他の業界と比べても強いものがあるのではないかと思います。そういったことも、より多くの人に知ってもらいたいですね。
業界と協会の認知度を上げていくということは、本当に重要だと思います。最後になりますが、読者の皆さまにメッセージをお願いします。
私たちの仕事は世の中へ貢献できる価値の高いものであることを意識して、常に進化し続けることが大切だと思います。自身のスキル、チームのサービスレベルを通じてコンタクトセンターの価値を上げられれば、企業と生活者・消費者、センターのスタッフを結ぶハッピートライアングルにつながります。協会としても積極的に取り組み、広く発信していきます。もう一つが働いている人のウェルビーイングですね。報酬的なものややりがいも重要ですし、年齢性別問わず働けることでの出会いもあります。そういう機会を活かすことで、業界全体が盛り上がっていくことを願っています。
本日は、貴重なお話をありがとうございました。
出典:CCAJ NEWS 2025年10月号(Vol.343)

