【連載企画】第36回 CCAJスタディーツアー フィリピン視察レポート①  IBPAP交流で見えたフィリピンIT-BPM産業の実像

テクノロジー
CCAJスタディーツアー 海外コンタクトセンター事情視察

先進的かつ特徴ある海外のコンタクトセンター/コールセンターの事情を学び、
自社センターの運営等に役立てることを目的に、CCAJ(旧JTA)が任意団体として設立した当初より、毎年実施してきました。
ツアー開始当初は、欧米の「コンタクトセンター/コールセンター」先進事情を学ぶことに主眼を置いていました。
しかし、現在では日本も欧米と肩を並べるまでに成長したことで、参加者(企業)の目的がより深化した情報収集へと変わり、
毎回、活発な質疑応答が行われ、有意義な内容となっております。
また、普段接する機会の少ない他社の方と、同じ時間を共有するといった
“企業の枠を超えた参加者同士の交流”も本ツアーの魅力となっています。

 

視察の特徴 (3つの学び)
1. 最新情報の収集
センター運営責任者によるレクチャーと稼働中のセンターを見学し、具体的な話を聞くことができます。
2. 参加者の視野拡大
異なる環境・文化などから新たな運営方法・考え方に触れることができます。また、視察のレポートを他社の方と意見交換しながら共同で作り上げます。
3. 情報交換・交流
他社の参加者と共に過ごし、様々な情報を交換することが良い刺激になり、帰国後も交流が継続します。

URL:https://ccaj.or.jp/event/studytour.html

IBPAP 訪問レポート(2025年11月19日/メトロマニラ)

本記事は、2025年の海外視察レポートをもとにした連載企画の第1回です。
今回は、IBPAPについて解説します。
 

IBPAPとは?

IBPAPは、フィリピンの IT-BPM(IT およびビジネス・プロセス・マネジメント)業界を代表し、400社を超える加盟企業と6つのパートナー団体で構成される業界団体であり、IT-BPMセクター全体の発展と共同利益の創出を目的に活動している。政府機関や立法府、規制当局と緊密に連携し、産業にとって望ましい政策の推進および事業環境の整備に取り組むとともに、投資誘致、パートナーシップ創出、デジタルトランスフォーメーションやサステナビリティの支援など幅広い事業を展開している。また、国外企業の進出支援として、オフィス紹介や立ち上げ支援も提供している。

 


 

特色

フィリピンのIT-BPM産業は、就業人口約190万人、年間収益約400億米ドルを誇る基幹産業です。
国内には約1,000社のIT-BPM関連企業が集積し、現在も市場は拡大を続けています。
世界のIT-BPM市場では約18%のシェアを占め、主要拠点として発展しています。
また、IT-BPM産業がフィリピンのGDPに占める割合は8.1%と高く、
輸出収益全体の約36%を担うなど、フィリピン経済を支える重要産業となっています。
これまで顧客の中心は米国企業でしたが、近年はヨーロッパやアジア太平洋地域への展開も進み、市場の多様化が進んでいます。
 

トレンド

近年は、多国籍企業によるGlobal Capability Center(GCC:グローバル・ケーパビリティ・センター)の設立が増加し、
高度な業務を担う拠点としての役割が拡大しています。
また、教育水準の向上を背景に、銀行・金融やヘルスケアなど専門性の高い分野へのサービス展開も進んでいます。
さらに、インフラ整備を追い風に、在宅勤務と出社を組み合わせた
ハイブリッドワークを早期に導入するなど、多様な働き方にも柔軟に対応しています。

※グローバル・ケイパビリティ・センター:多国籍企業が、コスト削減や専門性の高い人材の確保を目的として、海外に設立する拠点のこと。

<コアセクター(6業態)>

セクター 労働人口 収益
コンタクトセンター 162万人 336億ドル
グローバル・ケーパビリティ・センター(GCC) 27万人 87億ドル
IT・ソフトウェア 19万人 62億ドル
ヘルスケア情報管理 21万人 45億ドル
アニメーション 8,420人 9,000万ドル
ゲーム開発 7,220人 1.1億ドル

 

成長要因

メトロマニラに加え、セブ島を中心とした地方都市にも企業進出が進み、業界拡大および地域雇用創出に寄与。
フィリピンの平均年齢は25.3 歳と若く、年間約 70 万人 の新卒者が労働市場に参入。
多様な企業の進出により、業界内のコスト競争が活性化し、健全な競争環境が形成されている。
 

所感

フィリピンでは近年、「BPO(Business Process Outsourcing)」ではなく「BPM(Business Process Management)」、あるいは「IT-BPM」という呼称が主流となりつつある。これは、単なるカスタマーサポートや人手不足補完のための外部委託にとどまらず、クライアントの利益創出に寄与する業務マネジメントサービスへと進化していることを示している。
IT-BPM 業界が成長を続ける要因として、IBPAP 代表ジャック・マドリード氏は
「コミュニケーションスキル」と専門知識・業務知識を意味する「ドメインスキル」の 2 点を挙げている。
さらに、同産業が「国内最大の産業」と位置づけられていることが働き手のモチベーションを高め、新規就労者の継続的な参入を促している点も重要と考えられる。

まとめ

今回の訪問を通じて、フィリピンのIT-BPM産業が 国家の成長エンジンとして確固たる地位を築いていることを強く感じました。
若い人材、政府との連携、外資企業の積極的な進出、そしてIBPAPの戦略的な舵取り。
これらが相まって、フィリピンは今後も世界のアウトソーシング拠点として存在感を高めていくでしょう。

≪次回予告≫
次回は、フィリピン国内最大規模のフレキシブルオフィスおよび
スタッフリーシング(雇用代行)サービスを提供する
KMC Solutionsの視察レポートをお届けいたします。ぜひご期待ください。
 

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