コールセンターとSDGs Vol.4「グラデーション世代が作り上げるサステナブルなコールセンター」

社会貢献
未来に向けて目指すべきコールセンターとは

宮坂 SDGsは2030年をゴールと定めていますが、若い皆さんには、その先まで続くサステナブルなコールセンターを目指していただきたいと思っています。そのためにも、こんなコールセンターだと働きやすい、こういうセンターが実現して欲しいなど、将来への思いを自由な発想で教えてください。

花島 コールセンターとしては、フルタイムで毎日就業できる方に多く入社いただきたいので、契約社員の方が、有期雇用から無期雇用を経て正社員になってがんばりたいという時に、キャリアアップを目指していただけるフォロー体制を用意しています。そういう制度を積極的に打ち出して活用していただくことが必要だと思います。

一方で、今の社会情勢としては、正社員にこだわらず勤務は週3日で残りは好きなことにあてたいといった方も多いと思います。スキマ時間に働きたいという今の需要に対して、うまくマッチできるような施策が打てないか考えています。また、声が低いから電話には出たくないとか、コールセンターの経験はあるけど年齢が高くてパソコンやネットワークがよくわからないといった、コールセンターで働く上でのちょっとしたハードルがあることもあります。そういうケースでも、電話ではなくチャット専任になれるように業務を分解したり、パソコン関連の研修期間を延ばすなど、センター側の工夫で、もっといろいろな人と一緒に働けないかと検討しているところです。

高橋 今のセンターは、主婦でお母さんの方が多いのですが、皆さん、いろいろな人生経験があり、応対品質が良い方ばかりです。ただ、お子さんや家庭の事情で遅刻や早退になったり、働けないということもあるので、施設の中でお母さん方をサポートできれば良いなと思っています。託児所とコールセンターが一体になっているとか、そういった環境が充実しているセンターを目指していきたいと思っています。

丸小野 センターと託児所が一体化しているというのは、スタッフがどちらを主体に考えるかによって対応も違ってくると思います。そういう発想がなかったので、おもしろいですね。

丸小野一成 氏
株式会社ベルシステム24 ソリューション推進本部 コンサルティング部・エキスパート
「コールセンター業界を志望したのは、お客さまの声の入口であり、企業の最終的な回答を返す出口であると考えたからです。そこにいれば、最初と最後、上流と下流が交わる地点に関われることに魅力を感じてベルシステム24に入社しました」

採用の課題で言うと、Google翻訳のような自動翻訳機能を活用して、チャットでの応対を、海外の人にお願いするのはどうでしょうか。例えば、日本語の質問が自動翻訳されて英語で出てくるので、それに対して英語で答えると日本語の回答になるといった仕組みです。在宅で北海道から沖縄まで採用できるようになりましたが、チャットなら世界中のいろいろな人と働けるのではないかと思います。将来的には、言葉の壁を越えて専門知識を活かしていただいたり、時差を利用することで24時間対応が楽になるなどの可能性があると思います。

宮坂 それこそデジタル化の一環で、働きがいだけでなく産業と技術革新という目標にも合っていますね。

丸小野 電話に関するDXで、以前から思っていることがあります。Googleでお店検索をすると混んでいるかどうかが表示されますが、同じようにセンターの混雑状況が見えると良いなと思っています。電話をかける前に混んでいることがわかれば、急ぎじゃないから後でかけようとか、少しなら待ってもいいとか、こちらの状況を見て、お客さま側である程度判断していただけるし、双方の温度感のようなものがリアルタイムにつながると思います。

宮坂 今混んでいますというのが、一目でわかるというのは、すぐにもやって欲しいですね。

丸小野 待ち呼が溜まっているセンター側の状況を伝えたいという思いがあって個人的にもすぐに実現してほしいと思っています。

双方向でのコミュニケーションでもっと考えると、アニメの”竜とそばかすの姫”のようにアバターで仮想空間に入って、一緒に話したり行動したりできればいいなと思います。電話で見えない相手と話すのではないので、問い合わせ先の混雑状況がアバターの数でわかったり、お互いのジェスチャーもちょっと見えて楽しいし、便利だと思います。

宮坂 デジタル化というと、ややもすると顔が見えない、テキストベースになりがちですが、技術的にもっといろいろできれば可能性は広がりますね。

丸小野 対面とZoomの中間くらいの空間ができると良いと思っていて、可愛い猫のアバターだときつい言葉を言われても怖くないとか、逆に怖いアバターだとクレームを言いづらいとか、いろいろとおもしろいことが起きると思います。

花島 私もお二人と同じで、いろいろな人を受け入れやすいことがコールセンター業界の良さだと思っているので、そこを伸ばすことでどのような人とも一緒にお仕事ができるような環境を作っていけば、採用課題の解決策につながるのかなと思っています。

もう一つが、センター環境の整備で、丸小野さんがおっしゃったリアルタイムでセンターの内情が見られるというのも、アバターを使うというのも、応答率100%・解決率100%を目指してデジタルの活用と有人対応をうまく組み合わせていこうというのが、これからのコールセンターの在り方の一つだと思います。

多くの価値観が混じるグラデーション世代

宮坂 せっかくの機会ですので、皆さんに聞いてみたいことはありませんか。

丸小野 私たちは、ゆとり世代でもないしZ世代でもなくて、調べてみたらZの前のY世代らしいのですが、15年くらいの幅があってわかりづらいので、どういう特徴があると思っているのかを伺いたいです。

高橋 SNSに強い人が多いと思います。クライアントのSNSでの情報発信力が弱くて、私だったらこうやって投稿して商品を広めたいのにと考えることがあります。一つの投稿でもすごく広がることがあるので、一つひとつを大切にして欲しいなと思っています。世代としても、SNSをよく見ていることが特徴と思います。

花島 私はそんなにSNSは強くないです。

私たちの世代は、転職ありきで就活していて、一つの会社にそんなに長くはいないだろうと思っていたことが特徴の一つかなと思っています。キャリアアップよりもプライベートをしっかりしたいという人が多かったように思います。

丸小野 SNSに強いことも、キャリアアップ志向が少ないことも、そうだと思います。ただ、SNSを全然やらない人もいるし、ガチガチにがんばりたいという価値観も残っていて、いろいろなことがグラデーションのように少しずつ混ざっているように感じていていました。それで、世代としての特徴をつかみづらいと思っていたのですが、グラデーションとしていろいろなことを持っていることが特徴になるのだろうということを改めて感じました。

宮坂 グラデーション世代というのはわかりやすいですね。いろいろなことを取り入れられるから柔軟性があって、人によってそれぞれの重みもちょっとずつ違ってくるのでしょうね。

今日は、業界のこれからを担う皆さまの率直な意見をお伺いできて、非常に参考になりました。また、キャリアアップ志向が少ないと言いつつも、しっかり考えて取り組んでいきたいという気持ちが伝わって、とても頼もしく感じました。コールセンター業界は、皆さんのような若手の方がいることでまだまだ変わる、進化していけることを私も実感できました。ありがとうございました。

これまでのSDGs特集

《特集「コールセンターとSDGs」①》Vol.314(2023年5月号)
コールセンターにおけるSDGsの現在地 ~会員企業の取り組みと課題~
https://ccaj.or.jp/ccajnews/pdf/ccajnews314.pdf

《特集「コールセンターとSDGs」②》Vol.315(2023年6月号)
コールセンター業界が取り組むべきSDGsとは ~グローバル・コンパクト・ネットワーク・ジャパンに聞く~
https://ccaj.or.jp/ccajnews/pdf/ccajnews315.pdf

《特集「コールセンターとSDGs」③》Vol.319(2023年10月号)
コールセンター業界が取り組むSDGs ~コールセンターができること、コールセンターだからできること~
https://ccaj.or.jp/ccajnews/pdf/ccajnews319.pdf

出典:CCAJ NEWS 2024年2月号(Vol.323)

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