特集:コンタクトセンターに求められるワーク・エンゲージメント向上支援施策のあり方
出典:CCAJガイドブック Annual Report Vol.34
コンタクトセンターに求められるワーク・エンゲージメント向上支援施策のあり方
ケーススタディ「ジュピターショップチャンネル株式会社」「ビーウィズ株式会社」
近年、労働市場において、オランダ・ユトレヒト大学Schaufeli 教授らが提唱した「仕事から活力を得ていきいきとしている」(活力)、「仕事に誇りとやりがいを感じている」( 熱意)、「仕事に熱心に取り組んでいる(」没頭)の3つが揃った状態として定義される概念、「ワーク・エンゲージメント」への注目が高まっている。
従来から多くのコンタクトセンターでは、「ES(従業員満足)なくして、CS(お客様満足)なし」といった言葉が一般化しているように、ES向上のためにさまざまな施策が展開されてきた。しかし、その内容は、例えば給与など待遇面の充実化やストレスなく業務が遂行できる職場環境の整備など、表層的な満足を追求する取り組みが中心となっていることも多く、「活力・熱意・没頭」という、いわば従業員の内面にまで踏み込んだ取り組みは数少なかった。
そもそも、さまざまな出自・プロフィールの人材が、多種多様な働き方で業務に従事するコンタクトセンターでは、「ワーク・エンゲージメント」向上へのハードルは高いものと推測される。
そこで今回の特集では、実際にワーク・エンゲージメント向上への取り組みに注力しているセンターの事例を通じて、コンタクトセンターが今後目指すべき、「ワーク・エンゲージメント」向上支援施策のあり方について探った。 今回取材にご協力いただいたジュピターショップチャンネル(株)のコンタクトセンターでは、経営理念である「心おどる、瞬間を。」の実現のために、お客様とのコミュニケーションを担うエージェントのエンゲージメント向上が不可欠であると認識。明確なキャリアパスや評価制度の確立、センター内における情報・意識共有の徹底、日常的に展開されるきめ細かい福利厚生施策など、さまざまな角度から、エージェントが主体的・能動的に生き生きと業務に取り組める職場環境の実現に注力している。
また、ビーウィズ(株)では、全社的な従業員意識調査の結果をベースに、スーパーバイザー(SV)が中心となって従業員のエンゲージメント向上のための施策を検討・実行するための取り組み「100人で考えるエンゲージメント」を展開。SVが主体的に参画する取り組みを進めることで、社内コミュニケーションも活性化していることから、今後もこのような取り組みを継続することで、全社的なエンゲージメント向上を図っていく方針を示している。
「ワーク・エンゲージメント」は、端的に言えば、従業員が所属企業や担当業務に対してポジティブな心理状態で臨めるようにすることであり、当然のことながら、その状態に至るまでのステップは従業員個々のキャラクターやプロフィールによって異なる。
このような前提に立てば、「ワーク・エンゲージメント」向上への取り組みは、例えば「パーソナル・ジム」のように、従業員個々のキャラクターやプロフィールに応じたメニューを提供するといったスタイルが望ましいが、組織としてそれを実践するためには多大なリソースが必要となることから、完全な実現は難しいだろう。
その中で現実的な取り組み方針として考えられるのは、「ワーク・エンゲージメント」向上支援施策の立案・実行においては、常に“一方通行”にならないことを意識し、従業員との継続的なコミュニケーションをベースとすることを徹底することだ。
企業・組織としての考え方を示しつつ、従業員側の受け止めや希望も把握して、歩み寄りながら取り組みを進めていくことで、従業員の関与度も高まり、施策の有効性向上が加速することも期待できるだろう。

