特集:コンタクトセンターに求められるワーク・エンゲージメント向上支援施策のあり方
SVが中心となって従業員のエンゲージメント向上施策を企画・立案
ビーウィズ(株)では、全社的な従業員意識調査「エンゲージメントサーベイ」を実施。その結果をベースに、SV(スーパーバイザー)が中心となって従業員のエンゲージメント向上のための施策を検討・実行するための取り組み「100人で考えるエンゲージメント」を進めている。

SVが中心となって従業員のモチベーションアップに繋げる施策を検討・実行
2000年5月の設立以来、順調に業容を拡大し、2022年3月に東京証券取引所市場第一部に上場。同年4月には東京証券取引所市場区分再編に伴い、プライム市場への移行を果たすなど、日本のコンタクトセンター・BPOサービス業界を代表する企業の1社としての地位を確立しているビーウィズ(株)。同社では現在、エンゲージメントや従業員満足(ES)の向上を目的に、SV(スーパーバイザー)が中心となって従業員のエンゲージメント向上のための施策を検討・実行するための取り組み「100人で考えるエンゲージメント」を進めている。
全国に17拠点を展開する同社では、8,700名以上の従業員を有するが、その約3分の2は各地のコンタクトセンターでオペレーターやSVとして勤務する有期雇用従業員だ。コンタクトセンター業界では新規採用が難しく、人材確保が困難という状況が続いており、同社で勤務する有期雇用従業員にとっても自分の意志で働く企業を選択できる“売り手市場”ともいえる環境となっている。
このような状況の中で安定的に業務を進めていけるよう、多くの有期雇用従業員に同社での勤務を選択してもらい、できるだけ長く働いていただくためには、居心地がよく愛着が感じられる職場環境を実現してESを向上するとともに、やりがいや自らの成長を実感できる機会を提供することによりエンゲージメントを高めることが必要となる。このような認識の下、2023年5月からスタートしたのが「100人で考えるエンゲージメント」である。
全社的な従業員意識調査として「エンゲージメントサーベイ」を実施
この取り組みでの前段階としてはまず、全社的な従業員意識調査として社内eラーニングツールを通じた「エンゲージメントサーベイ」が実施された。
その内容は全国のオペレーターとSV、約6,500名を対象に、「目標」「環境」「上司」「同僚」「成長」「総合」という6分類で12項目の設問を提示し、回答を求めるというもの。設問設定においては回答者にとってイメージしやすい内容とすることを意識し、また、組織的に積極的な協力促進を行った結果、2023年3 ~ 4月、9 ~ 10月の2回の実施で、いずれも90%以上の回答率となり、さまざまな興味深い知見を獲得することができた。
例えば、オペレーターでは業務遂行においてエスカレーションをしやすくするなど、「お客様に正しくご案内をするための環境を整えてほしい」といった声が多かった。また、「職場で仲の良い友人を作りたい」といった意識は希薄であることもわかった。
一方、SVでは担当プロジェクトへの貢献度をより高めていくような“成長”の実感を求める傾向が強いことが判明した。
このような調査結果をベースに、「100人で考えるエンゲージメント」の第1フェーズとして実施されたのが、SV有志がオンライン上で集まり、従業員のモチベーションアップにつながるさまざまなテーマについて検討する「エンゲージメントワークショップ」である。
SVが主役のワークショップで新たなエンゲージメント向上施策を企画
「エンゲージメントワークショップ」では、「KPI・ランキング」「表彰」「プレゼント」「ポイント制」「声かけ」「褒める」など21のカテゴリについて、これまでの成功・失敗事例を共有するとともに、これからやってみたい未来のアイデアを出し合った。活発な意見交換の中から、すぐにでも役立てられる成功のコツや個性豊かな施策など、さまざまな意見・アイデアが挙げられ、多くのアイデアにおいて「安心できる」「成長できる」「変化を感じる」「交流できる」「認め合う」といった共通するポイントがあることもわかった。
そして、第1フェーズで得られた知見を基にスタートした第2フェーズでは、同じくワークショップ形式で「ハイパフォーマンス認定」「エクスペリエンス向上」「事業理念浸透・声をかける/褒める文化形成」「CSR(オペレーター)ジョブローテーション促進」「ビーウィズ理解・リレーションシップ促進」「SVエンゲージメント」といった6つのテーマを設定し、具体的な施策検討を進めた。
新設した表彰制度を通じて社内コミュニケーションを活性化
第3フェーズでは、検討結果に基づく施策をSVが中心となって実行。さらに①エンゲージメントサーベイ、②サーベイ結果の分析、③ワークショップのサイクルを回すことで、継続的に施策のブラッシュアップを図っていく仕組みを構築した。
実際に行われた施策は、例えば「表彰」というカテゴリでは、日頃からともに業務に取り組むSVが、数値にこだわらず、自由な観点から推薦したオペレーターを表彰する「Be-PRO Award」や、さまざまな観点から特徴あるプロジェクトを表彰する「Be-shining PJT」などを新設した。受賞者にはパッケージに日常的にはコミュニケーションの機会が少ない各部門の部長の顔写真を印刷したチョコレート菓子を贈呈。さらに、受賞理由や受賞者のコメントを表彰の様子とともに社内報へ掲載するなど、社内コミュニケーション活性化のきっかけとなるような工夫をしている。
また「褒める」というカテゴリでは、2024年秋から「○○を褒めよ!選手権」を開始する。あえて人ではなく日常的に使用しているモノを対象に褒め方を競うもので、社内の”褒める”文化定着に繋げてくことを狙っている。
「100人で考えるエンゲージメント」が最終的に目指すところは、従業員のESやエンゲージメントを向上することで、できるだけ長く働いていただくことであり、例えば離職率や平均勤続年数などが施策のKPIになると考えられる。しかし、有期雇用従業員では家庭の事情などで離職せざるを得ないといったケースもあり、エンゲージメントとの因果関係が定かではない部分もあるため、施策の効果検証のあり方については現在検討段階にあるとのことだ。
ただし、SVが主体的に企画・立案に参画する取り組みを進めることで、社内コミュニケーションが活性化したことは明らかであるので、今後もこのような取り組みを継続することで、全社的なエンゲージメント向上を進めていく考えである。

出典:CCAJガイドブック Annual Report Vol.34

