コールセンターとSDGs Vol.2「コールセンター業界が取り組むべきSDGsとは」

社会貢献

出典:CCAJ NEWS 2023年6月号(Vol.315)

コールセンター業界が取り組むべきSDGsとは

〜 グローバル・コンパクト・ネットワーク・ジャパンに聞く 〜

コールセンター業界のSDGs(持続可能な開発目標)への取り組みを促進すべく、「コールセンターとSDGs」と題した特集を連載しています。
Vol.1 の第一弾では、会員企業に実施したアンケート※をもとに、会員各社の取り組みの生の声をお届けしました。
Vol.2では、アンケートから明らかになってきた会員の課題や疑問を解決すべく、有識者へのインタビューを実施。SDGsを企業の経営戦略やガバナンスに統合するための手助けを続けている国連グローバル・コンパクトについて、コールセンター業界に対するアドバイスも含めて、SDGsへの取り組みの基本を取材しました。今後の活動にご活用ください。
SDGs推進の世界的な中核組織

1999年、当時のコフィー・アナン国連事務総長が、ダボス会議で企業にグローバルな課題解決への参画を求めたことで、2000年にニューヨーク国連本部で正式に発足した国連グローバル・コンパクト。コフィー・アナン氏以降も歴代の国連事務総長がチェアマンを務める国連と直結した組織として、SDGsの推進を続けています。日本におけるローカルネットワークであるグローバル・コンパクト・ネットワーク・ジャパンは2003年12月に発足し、サステナブルな社会の実現にむけて活動を続けてきました。そこで、SDGsの専門家のお立場から、サービス業であるコールセンター業界がどのように関わっていけば良いのか、アンケートでの疑問も含めてお話を伺いました。
コールセンター業界をはじめとするサービス業などの非製造業が、SDGs 実現のためにどのように関わっていけば良いのでしょうか。会員アンケートでは、悩んでいる企業も多いようです。そこで、基本的なSDGs の理解や取り組みについて学ぶべく、一般社団法人グローバル・コンパクト・ネットワーク・ジャパンを訪問して、事務局長の矢部英貴氏と事務局次長の氏家啓一氏にお話を伺いました。

国連グローバル・コンパクトとグローバル・コンパクト・ネットワーク・ジャパン
CCAJ

最初にグローバル・コンパクト・ネットワーク・ジャパン(GCNJ)と、その母体である国連グローバル・コンパクトについてご説明いただけますか。

矢部

’GCNJ は、2000 年に正式に発足した国連グローバル・コンパクトのローカルネットワークになります。国連グローバル・コンパクトは、1999 年のダボス会議で当時のコフィー・アナン国連事務総長によるビジネスリーダーに向けた呼びかけで誕生した国連事務総長室傘下の組織で、国連と民間の企業や団体が手を結ぶことで、健全なグローバル社会を築くためのリーダーシップを発揮していく、世界最大のサステナビリティ・イニシアチブと位置づけられています。コンパクトは誓いや盟約という意味で、162 カ国が参加して約70 か国にローカルネットワークが設立されています。その中の一つがGCNJ で、国連グローバル・コンパクト本部と日本の企業や団体をつなぐ役割を果たしています。現在、グローバルな署名数が22,000 を超えていて、日本でも2023年3 月末の時点で545 の企業と団体が参加しています。

CCAJ

GCNJ における日本の参加企業の特徴というのはありますか。

矢部

GCNJ は、世界的に見ても大手企業が非常に多いローカルネットワークです。業種としては、製造業やインフラ関連が中心となりますが、サービス業や自治体、大学などからも多数参加しています。大手企業からの呼びかけや要望、ESG 評価として国際機関への署名を希望する企業が増えていて、特にここ数年、コロナ禍においても急激に増えているというのも特徴の一つです。
コールセンターをはじめとするサービス業は物を作っているところとは違いますが、バリューチェーンやサプライチェーンを構成する企業としてSDGs への取り組みが求められます。また、SDGs の推進には、より多くの企業の参加が必要ですので、中小企業も含めてより多くの皆さんにも署名いただき、一緒に活動していただくことが現在の目標です。

CCAJ

2015 年9 月の国連サミットで加盟国の全会一致で採択されたSDGs ですが、GCNJ とはどのような関連があるのですか。

矢部

国連グローバル・コンパクトでは、人権・労働・環境・腐敗防止の4 分野・10 原則を定めていて、そこに賛同した企業が署名することで、その実現に向けて努力していくことが求められます。SDGs も2015 年に国連主体で採択された国際目標であり、国連は、さまざまなパートナーと協力してSDGs を達成していこうとしています。2018 年12 月の国連総会では、「SDGs の実行において重要な民間セクターの活動推進は、国連グローバル・コンパクトの役割である」と決議されました。私たちGCNJは、この国連の決議文に記された責任をまっとうするために、日本で民間セクターがSDGsに取り組むように推進活動を行っています。

地球規模の課題を2030年までに解決
CCAJ

会員アンケートに「CSRとSDGsとの違いがわかりにくい」とのご意見がありました。そういったモヤモヤ感を聞くことがありますが、SDGsの基本的な考え方をどのように捉えれば良いのでしょうか。

矢部

地球規模の課題をどう解決していくか、その手段を示しているのがSDGsです。そこにどう関わっているかが明確でないことがモヤモヤしている部分ではないかと思います。
SDGsの目標13は気候変動で取り組むべき指標も示されていますが、その達成のために企業として対応していくことが求められています。CSRに限らず、環境問題の解決に力を入れることでゴールに近づくのであればそれがSDGsへの参加であり、切り離して考えるものではないと思います。

CCAJ

地球規模の課題に対する取り組みを、グローバルで解決していくための方向性を示すことで、そういう意識を共有する目標と考えていいのでしょうか。

矢部

まさにそのとおりだと思います。気候変動以外にも、ジェンダー平等や貧困もあります。17のゴールには169の明確なターゲットが設定されていることがSDGsであり、課題を解決するために取り組んでいくことが求められています。

氏家

もう一つのポイントとして、17の目標が横並びであることが挙げられます。気候変動対策でエネルギーをセーブすることは、目標8の経済成長・雇用と相反することになる可能性があります。一方で、目標6の水・衛生への取り組みで、きれいな水をちゃんと管理することは途上国の人々の健康とともに、技術的な発展や経済成長などに役立つ取り組みです。
相乗効果が期待できる指標もありますが、総合的に考えていかないとすべてがOKとならない取り組みもあります。SDGsの17のゴールが横並びに配されているのはそのためです。全体を考えながら、注意深く進めることが重要です。

CCAJ

アンケートでの質問に「カーボンニュートラルに関して、2030年を超えた2050年のあるべき姿をビジョンと定めて中長期的なロードマップを作成しています」といった声がありました。2030年という期限にはどのような意味合いがあるとお考えですか。

矢部

SDGsの目的は、持続可能な開発に関する地球規模の優先課題を、2030年までにどう解決するかに尽きると思います。このままでは、グローバル経済そのものが本当に立ち行かなくなるという危機感によるものです。2030年までに今抱えている課題を解決していかないと、自分たちの子どもやその下の世代に大きな影響があるという状況はまちがいありません。
IPCCによる気候変動の報告書では、2030年までに気温上昇を1.5℃以内に抑えなければ、その後がオーバーシュートしてしまって3℃、4℃の平均気温の上昇になることを示しています。そうなると、ほとんど正常な生活はできません。地球がなくなるわけではないのかもしれませんが、海面上昇で消滅する国がでてくる可能性もあります。ですから冗談じゃなく、これはもう取り組まないと国がなくなる、人が住めなくなる、いろいろな形で大きな影響を及ぼすという状況が、事実として目の前に迫っていると思います。

CCAJ

GCNJの会員はSDGsに対する意識が高い皆さんだと思うのですが、近年変化は見られますか。

矢部

国連事務総長は、ここ数年の世界的な変化でSDGs達成に向けた活動が後退しているという危機感を表しています。会員も含めて、日本でもこのままだと地球がダメになってしまうという意識が高まってきているのは事実だと思います。
GCNJでは、2016年度から会員の企業や団体に対して実態調査を続けています。最初の5年間はSDGs認知度調査で、90%近い認知度まで上がってきたので、21年度からはそれぞれの課題に対してどこまで促進できているかという調査を始めました。それぞれの課題に対する目標達成に向けた進捗度というのは企業によってまちまちですが、意識の高まりは伝わってきています。ぜひHPをご覧ください。

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