コールセンターとSDGs Vol.2「コールセンター業界が取り組むべきSDGsとは」
協会の本年度の活動方針として、SDGsに照らし「働きがいも経済成長も」「ジェンダー平等を実現しよう」「産業と技術革新の基盤をつくろう」の3つの方向性を定めました。こちらも会員へのアンケートを基に策定したものです。コールセンター業界がSDGsに貢献できる分野はありますか。
従業員の待遇や働き方改革は、コールセンターに限らず観光業などのサービス業でも求められるところかと思います。コールセンターは離職率が高いと聞いたことがありますが、働きがいのある人間らしい仕事が今後も求められます。そういった意味からもジェンダー平等への取り組みは重要です。ジェンダー平等というと女性活躍につなげがちですが、それはあくまで一つであって、多様な人材をどう活用するのかというのが課題になります。例えば国籍、性別、障がいの有無、LGBTQIなどの差別がまったくない職場が、コールセンターでは可能ではないかと思います。すでに女性がものすごく活躍している職場ですし、ぜひもっと進めてください。
その他にも、コールセンター業界は地方の活性化にも大きく貢献されていて、地域との共生社会にもつながってくるかと思います。
今おっしゃっていただいたことに積極的に取り組んでいる企業は多いのですが、それが一般にまで伝わってないところもあります。さまざまな改革をもっとアピールする必要を感じていますが、そういった改革がSDGsの一環でもあるということで心強く感じました。
そういう情報はもっとオープンにすべきですし、まずは自分の会社の中でこう変わっているということを発信されることが重要だと思います。社員が自分の会社は改善されたと認識できれば、それは自然と外に伝わっていきます。
その中でも働き方改革というのは重要で、ワークライフバランスにも関わってきます。育休や時短、在宅などの制度を取り入れていただくことで、働く人たちのモチベーションも上がってくると思います。
ワークライフバランスというのは、コールセンターで働く方々だけでなく、仕事のブランドにも関わっていると思います。
ワークライフバランスという言葉は私もよく使いますが、ワークの前にライフではないかと思っていました。ライフがあってこそのワークだと。そして、豊かで便利で安全なライフを支えているのがサービス業であり、ライフを支えるための情報を提供しているのがコールセンターだと思っています。それはSDGsにもつながっている仕事です。ライフへのサポートを通じて、2030年までのゴールにつなげていくという意識を持っていただくことが大切だし、働いている人たちに感じていただくだけで全然違うのではないでしょうか。
コールセンター業界の取り組みで、SDGsにもつながる事例をご存じであればご紹介いただけますか。
コールセンター関連の最近の事例としては、GCNJの会員でもあるベルシステム24ホールディングスによるサイリンクスへの寄付がわかりやすいと思います。
サイリンクスは、声帯を摘出したために声を失った喉摘者(こうてきしゃ)のために、ハンズフリーの発声支援デバイスを開発している大学院生やエンジニアによる研究チームです。ベルシステム24では、コンタクトセンターに寄せられる「ありがとう」の件数を可視化するAI音声認識ツールを使って、ありがとうの数に応じた寄付を行っています。自社だけで喜んでいても発展性がないからと、他者とつながることで社会貢献に変えていこうという取り組みです。
この活動は、CCAJでも「会員ニュース」としてご紹介しました。これもSDGsに含まれるのですか。
SDGsには、自社でできないことを他者と協力することで社会をよくしていこうという精神が含まれています。サイリンクスという研究チームがあるが資金を必要としている。ベルシステム24は自社でできない研究にサポートはできる。一緒になって取り組むことで、社会がより良くなる。それがSDGsの精神です。
目標の17ではパートナーシップの活性化を提唱しています。一人一社一団体ではできないことが、パートナーシップによって実現できること。これはSDGsだけではなくいろいろなところに当てはまるとは思いますが、SDGsの考え方の中にもしっかりと入っています。皆さんが普段やっている社会貢献もSDGsになっているかもしれないので、それを自信を持って発信することが大切だと思います。
アンケートでは、SDGsに関するさまざまな課題が出てきています。GCNJでは、会員の皆さんにどのようにアドバイスしたり解決に導いたりしているのですか。
GCNJの活動の中心である分科会は、会員同士で苦慮しているところや取り組み事例などを共有することで、アドバイスや新しい情報を得られる場となっています。現在、SDGs・ESG・サプライチェーン・環境経営・サーキュラーエコノミー・ヒューマンライツデューデリジェンス・WEPsなどの全14テーマについて、参加メンバーが学び、様々な知識・経験を共有する機会となっており、約4000名の登録があります。
いずれの分科会も登録無料ですし、参加企業が主体となって進められているもので、目標17のパートナーシップを実現しています。自社に持ち帰り、経営層に直接語り掛け、自社としてやれることが他にないか、今一度確認できる貴重な機会となっています。大手企業も中小企業も垣根を越えて参加できる場があれば、新たな情報やヒントを得られて解決につながるのではないでしょうか。
最後に、読者へのメッセージをお願いします。
国連グローバル・コンパクトは国連の中で唯一、民間企業が活動に関与している組織です。アナン国連事務総長が、これからは国や政府任せではなく、企業自らが動いてゴール達成できなければこの世の中がなくなってしまうという発言からスタートしたものです。GCNJを活用していただくことでSDGsの理解促進につなげたいですし、分科会以外にも多くの活動を行っていますので、より多くの企業に参加していただくことで、日本でのSDGs達成を目指していきます。CCAJの会員の皆さんもサステナビリティ戦略をビジネスへ実装するための実用的なガイドを得ることができますので、ぜひ毎月開催している説明会にまずはご参加いただけましたら嬉しく思います。
本日はありがとうございました。

出典:CCAJ NEWS 2023年6月号(Vol.315)

