特集:コンタクトセンターに求められるワーク・エンゲージメント向上支援施策のあり方
誰もが能力を発揮し、生き生きと働くことができる職場から「心おどる、瞬間を。」提供
ジュピターショップチャンネル(株)で電話注文受付などを担当するコンタクトセンターでは、経営理念である「心おどる、瞬間を。」の実現を目指し、その担い手の一角を占めるエージェントが、主体的・能動的に生き生きと業務に取り組める職場環境の実現に努めている。

生放送番組の臨場感をそのまま引き継げるお客様対応を目指して
CS 放送、BS 放送、地上デジタル放送、ケーブルテレビなど、さまざまな視聴メディアで放送されるテレビショッピング番組「ショップチャンネル」を運営するジュピターショップチャンネル(株)で、1日平均6万件にも及ぶ電話注文受付などの業務を担当するコンタクトセンターでは、受付を担当するエージェントがそれぞれの能力を十分に発揮し、生き生きと働くことができる職場環境を整備することで、生放送番組の臨場感をそのまま引き継げるお客様対応の実現を目指している。
一般的に通信販売の受注センターでは、外部委託を行ったり、派遣社員を多く起用したりするセンターも多いが、同社コンタクトセンターでは直接雇用のパートタイム社員を中心とした運営にこだわっている。その目的は電話対応においても事務的に注文を受け付けるだけではなく、社員が自覚と責任を持ってお客様に寄り添った対応を行うことにより、お客様の買い物行動全体を“エンターテインメント”とすることで、経営理念である「心おどる、瞬間を。」の実現につなげることにあり、同センターではその完遂のためにさまざまな施策を講じている。
スーパーバイザー(SV)的役割を担うリーダーの約半数をパートタイム社員出身者が占める
同社コンタクトセンターにおいてエージェントのエンゲージメント向上のために行っている施策の中でまず注目されるのは、明確なキャリアパス・評価制度の確立だ。 同社の目指すところであるお客様へ「心おどる、瞬間を。」提供していくためには、エージェントの心も常にポジティブな状態にあることが理想であるが、業務を“やらされている”という意識では、このような状態を実現することは難しい。そこで同社では、パートタイム社員であるエージェントの等級をA1 ~ A4に階層化して、各エージェントが担う業務内容・レベルによって階層を上げていける仕組みを提示するとともに、高い階層になるほど上昇する時給も公開。さらに最上位のA4階層に要求される業務を担当する人の中で希望する人は、月給制の契約社員となることができ、最終的には正社員に登用するルートも提示し、エージェントが主体的・能動的に業務に取り組むことができる環境を提供している。
ちなみに同社コンタクトセンターでスーパーバイザー(SV)としての役割を担うリーダーは主に正社員で、東京・大阪の2拠点合計で70名ほど存在するが、その約半数はパートタイム社員のエージェントとして採用されたスタッフからキャリアパス制度によって登用されたものである。このように、身近に数多くの“成功例”が存在することで、やる気のあるエージェントのモチベーションをさらに喚起する状況が実現されている。
エージェントの評価については、半年に1回の契約更新時を中心に面談を実施し、丁寧に説明。説明内容については、従来、“ 注意”などネガティブな指摘が増えてしまったことにより、エージェントのモチベーションが下がる懸念があった。お客様のご注文を“エンターテインメント”とするための場として相応しくない状況になる可能性を考え“賞賛”などポジティブな内容を評価項目に追加し、これによって、各エージェントが評価内容を理解し、自らの業務のブラッシュアップに努めるといった雰囲気の実現が果たされつつある。
さらにエージェントの働きやすさ向上という観点では、人事部門が設置している「なんでも相談会」の取り組みも見逃せない。
この取り組みは、例えば介護や育児などの都合による急なシフト変更の希望など、「直属しているリーダーに直接申し出ることがためらわれる」内容について、人事部担当者が話を聞いて、調整を行うというもの。多くのコンタクトセンターにおいてこのような部門は、受電現場とは別のロケーションに設置されることも多いが、同社コンタクトセンターでは現場のエージェント席の列の中に担当スタッフが常駐するスタイルを採ることで、エージェントが気軽に相談できる状況を実現しており、円滑なセンター運営に寄与している。
エージェントがベンダーによる商品説明会にも参加し、放送内容の最適化にも寄与
同社コンタクトセンターでは、センター内での情報・意識の共有にも注力している。
例えば、エージェントの入社時オリエンテーションでは単に業務内容を説明するだけでなく、エージェントに求める“お客様に寄り添う姿勢”の必要性や意義についても丁寧に説明。また、社内イントラネットには展開している施策やその成果、新たに策定・改訂されたマニュアルなどを常時公開し、全エージェントがいつでも閲覧できる体制を整えることで、各エージェントが実際に行っている業務の社内的な位置づけ・役割を明確に意識できるよう努めている。
さらに、「ショップチャンネル」に商品を提供し、実際に放送番組に出演するベンダーの担当者が商品説明を行う勉強会を、エージェントのために実施。質疑応答などを通じて放送前に商品に対する理解を深めて、予想されるお客様対応への準備を行うとともに、放送内容についてもいわば“お客様目線”を持つエージェントの疑問を解消し、要望を満たすものにすることで、エージェントに同社のビジネス全体に寄与していることを実感してもらう機会にもしている。
きめ細かい福利厚生施策を展開
そのほか、福利厚生面でもさまざまな取り組みが行われている。
まず、社員割引販売について、パートタイム社員であるエージェントにも正社員と同様の適用を行うほか、2006年12月に導入した医師や看護師などのスタッフが自身や家族の健康について相談に乗ってくれる24時間365日の電話健康相談サービスについても正社員と同様に利用できる。また、東京本社コールセンターに設置したマッサージルームは、低価格で有資格のマッサージ師のサービスが受けられることから、スケジュール予約が埋まるほど好評を博している。
それ以外にも、毎年11月1日開催の「大創業祭」の際には、圧倒的なお買い得商品の多さから殺到する電話注文に対応するため、多くのエージェントが前日23時から出社して約360席のセンターが満席となる状況になる。また、業務も繁忙を極めることから、その労苦に多少でも応えるため、お菓子や飲料、自社のノベルティを配布するなど、各エージェントが気持ちよく働けるようなきめ細かい配慮を行っており、このような取り組みを今後も継続していく意向である。


