座談会:AI活用・DX推進で実現する “新時代のコンタクトセンター”
AIが導いた応対の答えやヒントをコミュニケーターが学び、さらに心の通い合うサポートにつなげる。将棋の世界でもモデルとなっているAIと人の共創の形ですね。一方で、これもよく言われている話ですが、有人のコンタクトセンターが不要になるという観点ではいかがですか。
これは私の推測で根拠はないのですが。人に求められることが変わっていくのは事実だと思います。今まで100人がやっていたことをAIが70人分を行うとことが出来るようになったとき、その分の人を減らすことができると思います。しかし、大切なのは70人を減らすことではなく、70人が新たに生み出す価値をいかに創り上げるかという点が大切です。それをサービスの差別化につなげる発想で語られる未来があると思います。そこで価値のある提案ができるかどうかがカギになります。
AIを活用することによって生じる余力を再投資して、どのように新しい価値を作り上げていくかが重要ですね。
そうです。ただ単に自動化できて、コストが下がったけれど、サービス水準は下がっていないですよね、ということだけでよければそれでもよいと思いますが、クライアント企業側もそれを望んでいません。
そう考えると、住川さんはいつでもクライアント企業から、新しい価値をどうやって生み出すかについて斬新な助言が求められることが多いと思います。ぜひ、お差し支えない範囲で構いませんので、最後のまとめとして、日ごろのコンサルティングで指南されている未来に向けた提言などをお聞かせください。
私どもがここ数年言っているのは、業界ではずっと言われていますし、先ほども話にありましたが、平たく言うとプロフィットセンター化です。CXの時代と言われる中で、コンタクトセンターのオペレーションでお客様とのエンゲージメントを高めればCXが上がって、最終的にはロイヤリティ、ライフタイムバリューに返ってくるというモデルをしっかり作り上げることが重要であるということをずっと言っています。コンタクトセンターが企業の代表としてお客様とのエンゲージメントを高める“エンゲージメントセンター”といったポジションになれればと思って、そのような提言をしています。
たしかにプロフィット化は、普遍的なテーマですし、エンゲージメントで生み出される事業収益の見える化も重要ですね。
あとはやはりクライアント企業とBPOベンダー、ITベンダーなど、業界にはさまざまなポジションのプレイヤーがいて、それぞれの立場でかかわっていますが、コンサルティングファームとして触媒のような機能で、なるべくwin-winになるように、相互にいいところを引き出して業界全体のプレゼンスが高まるようにという、そんな想いを大きな考えとして持っています。
それはとても嬉しいですね。ぜひ、多くのプレイヤーが集まる、この日本コンタクトセンター協会の活動も多面的にご支援ください。 その住川さんの大きなお考えは、協会の会長を務める呉さんも同じだと思います。本日の対談の最後になりますが、この度「日本コールセンター協会」から「日本コンタクトセンター協会」に名称変更したことへの想いもあわせて、お話いただければと思います。
この2024年10月1日から「日本コールセンター協会」から「日本コンタクトセンター協会」に名称を変更しました。変えようと思ったのは、そもそもチャネルが多様化して、実態としてもう電話だけではない、チャット、SNS等への対応が広がっている中、電話によるコールだけにフォーカスしていると思われないように、といった想いです。さまざまな変化が起きて、AIやDX、CXもそうですが、進めやすくなってきています。そのようなダイナミズムにあって、今後5年、10年は間違いなく今までにない大きな変化があると思うので、協会としてもとにかく変化を与えたかった。その変化を与える方法の中で一番インパクトがあるのが名称変更だろうと考えました。また、それにあわせてロゴも新しくしました。これはコンタクトセンターを支える若い世代の意見を取り入れて制定しました。
そうですね、たしかに新しいイメージの素敵なロゴですね。「コンタクト=つながり」を表すデザインも良いと感じました。
もちろん、名称とロゴを変更することだけでは、業界の振興にはつながりません。更なる変化への適用が大切です。この対談で示された通り、AI 活用がDXを推進するドライバになって、コンタクトセンターのサービス価値の飛躍的な向上を実現することが大切です。最初にお伝えした通り、AI活用にむけてコンタクトセンターは、今とても注目されています。私としては、AIを活用しテクノロジーと人が融合したオペレーションを実現することで、業界全体の価値を上げることが出来ると考えています。
テクノロジーと人の融合は、確かに長年の業界テーマですし、業界全体のプレゼンスをあげるキーワードでもありますね。
先ほど、応答率に関する現実的な話もありましたが、テクノロジーと人が融合することによって、「何コール受けたので、いくら」というだけではなく、「プロフィット面も含めてきちんと評価してください」とクライアント企業とお話ができます。そして、「それなりの金額はするけど、それだけのリターンあるね」と言われるようにしていくことで、コンタクトセンター業界に従事するみなさんの価値を高めることが出来ると考えています。
そのように業界全体が活性化することはとても大切ですね。わたしも同じように思います。エンゲージメントセンターとしてプロフィットを生み出し、未来につながるようにしたいですね。
まさにそれらが実現しないと、優秀な人材も来なくなってしまうし、魅力に乏しい業界であると、新しい企業が参入して切磋琢磨しようということにもならないので、協会としてはしっかり先導していきたいと思っています。実際に、加入企業の4割くらいがIT企業なので、それらの企業ともきちんとディスカッションしながら、未来像を皆さんに示し、業界が活性化するように頑張っていきますので、ぜひご協力をお願いしたいと思います。
とても、力強いメッセージをありがとうございます。お二人のお話を聞いてとても熱い思いが込み上げてきました。呉さん、住川さん、本日はそれぞれに貴重なお話をいただき本当にありがとうございました。これからもどうぞよろしくお願い致します。
出典:CCAJガイドブック Annual Report Vol.34

