特集:EX向上・人材最大活用につながる働き方改革
今、会社のワーク・ライフ・バランスや働き方改革の取り組みについてお話しいただきましたが、皆さんご自身のワーク・ライフ・バランスはいかがですか。
私自身は昨年がある意味でターニングポイントでした。今まではマネージャー職ということでどうしても残業もありました。どのセンターでもSV職以上で残業が多いのが実情だと思いますが、私も実際そうでした。
その中で私は昨年、第一子をもうけたのですが、現実的に育休は取れないと思っていました。しかし、会社は取得を推奨しているので、駄目でも仕方がないと思いつつリクエストしてみたところ、会社側からは「ウエルカムです」という反応がありました。周囲にもまったく否定的な意見はなく、みんながポジティブに「おめでとう、いってらっしゃい」という感じでしたので、その風潮に感謝しています。育休の間は、自分の周りのチーム、上長などがタスクを少しずつ巻きとって、なんとか半年間を回してくれました。復帰してからも在宅勤務中心で、会議の合間などにリビングに行って娘の顔が見られますので、安心感があります。
以前はマネージャーなど組織のトップ、リーダーは一生懸命働いている姿を見せなきゃという感じでしたが、最近は反対に、自分達がお休みを取る、早く帰るなど、ワーク・ライフ・バランスを実現している背中を見せなきゃといったことになっていますよね。坂口さんはいかがですか。
ここ3年間は新しい事業の立ち上げをさせていただいたこともあり、私からすると、久し振りに日頃のコンタクトセンター業務ではない仕事に没頭できたという意味でとても楽しかったですね。一緒に立ち上げた社員達は大変だったと思いますが。私が3年間いない中でコンタクトセンター事業を守ってくれていたメンバーにも感謝していますし、新しい組織体制ができたとも思います。
意識はしているのは、朝早く出てきて、夕方は6時に帰るということで、その中でできることをやっています。ワーク・ライフ・バランスについて、上長の責任として部下にそのようなメリハリを示さなければいけないと考えて行っていることですが、私自身の中でどのように心身のバランスを取るかということでは、仕事が溜まるのが最大のストレスなので、ある程度片づけて安心したいと考えがちです。先ほど小林さんがおっしゃった通り、管理者がワーク・ライフ・バランスを実現する姿を見せていくということも必要なのかもしれませんね。
管理部門を中心に在宅勤務が増加した関係で、上長が問題ないと判断した管理職は単身赴任を解除し、出張ベースで出社できるというルールを導入、私自身もそれを使うことになりました。その中で家族との時間、趣味の時間も増え、また、妻との家事の分担などもバランスがよくなったと思っています。その他、ウェルビーイングに関するセンターの外部評価を受けたり、育休取得の促進や、よりやりがいを評価できるよう人事評価制度の見直しにも着手しています。
では、次の質問に行かせていただきます。今まで各社様のお考え、お取り組みを説明いただきましたが、どのセンターであっても、この曜日や時間帯に入電が増えるので、ここに人をアサインしたいといったことかあるかと思います。そのようなセンターとしての必要性と、社員それぞれのこの時間に働きたいという希望とは、一致しないこともあるのではないでしょうか。各社のお取り組みは素晴らしい、というきれいごとで終わらせるのではなくて、もう一歩だけ踏み込みたいなと思います。業界団体ではあるCCAJとして、現場のリアルな声を共有して、一緒に悩みを解決していきたいと思うのですが、現実的にはいかがですか。ビジネス上のニーズと多様な働き方をしたいという社員の希望がマッチしないといったことはないですか。また、そのギャップをなくすためにこのような取り組みを行っていますといったことがあれば、お聞かせいただきたいと思っているのですが。坂口さん、いかがですか。特に通販センターの場合、繁閑差もあるかと思いますが。
新規受付についてはアウトソーシングしているので、繁閑差はさほどでもありませんが、既存だけ営業時間を短くしてしまい、申し訳ないと思っている部分はあります。今の課題でいきますと、在宅ができていないため、介護のために実家に帰らないといけないなどの理由で、退職せざるを得ないといった環境がまだあります。ある程度の年齢の方が増えてくると、通勤片道2時間と言われると、現実的ではありません。そのような人に今、どのような対策をしているかと言いますと、個人情報を扱わない仕事をお願いして、在宅で介護しながら仕事してもらうといったことを行っています。しかし、スキルがそこまでいかない方もおり、全員に対応できないので、今も胸が痛い思いはしています。
なるほど。入電のトレンドにアサインするというよりも、そこで働けない方にどこで活躍していただくかといった考え方ですね。
そうですね。ただ、お客様からの電話が多い時間帯を度外視して、人をどんどん減らせるということではないので、既存の電話受付についても協力企業をこの1年で増やしました。お客様のニーズにはきちんと満たしつつ、社内では働き方改革を進めるというチャレンジをしているところです。
國﨑さん、いかがでしょうか。
センター運営をしていく上で、ここだけは人を厚くしたいということはあります。応答率については各社に基準があると思うのですが、応答率を時間帯で見ていくのか、日や週、月で見ていくのかなど、いろいろな視点があり、1日で見ていくと90%確保しているが、特定の時間に限定するとガクッと下がるということもあります。センターのサービスとして、お昼時間帯はコミュニケーターがいないので積滞して当たり前といったことは、お客様の価値的に通用しない話だと思うので、私としては、この時間帯だけなら働けるという短時間シフトを入れたいと考えています。 また、在宅についても現在、週5日の中で1日は出社するという原則があります。教育やコミュニケーションについて配慮したものだと思うのですが、ケースバイケースで週5日、フルで在宅勤務可能とすることを実現したいと思っています。 例えば、他県在住の親御さんの介護があり、事業所が近くにないから退職するというのは、優秀な人材を手放さないといけなくなるので、もったいないですよね。そのような人に関しては週5日の在宅勤務を認めるといった例外ルールをこれから作っていきたいという考えです。また、柔軟な勤務時間、例えば、中抜けシフトなどの導入も同時進行で進めていけたらと考えていますが、今のところ、そこまでは手をつけられていない感じですね。
センター運営上の必要性と一人ひとりの状況を、原則論だけではなく、できる範囲でマッチングさせていくということですね。反対に山本さん、布施さんは、アウトソーサーとしてクライアントから要求されるKPIなどがあり、クライアントの要求と社員がこう働きたいといったことのマッチングにもご苦労があるのではないでしょうか。山本さんいかがですか。
様々なクライアント様からお仕事をいただいておりますが、雇用が確保しにくい時間帯、土日祝日や夜間帯が充足しないというのはどこも変わらず、これから働き手の減少が予想される中で、さらに難しくなるであろうという予測があります。
打ち手のひとつとして、窓口時間短縮など業務要件の変更交渉は行わせていただいているかと思います。変更自体がKPIにどの程度影響があるのか、数値をご提示したうえでサービスレベルと効率化を両立できるようご提案させていただくイメージです。
働き手の確保については、これまでコールセンターで働いていなかった層に、いかに働いてもらえるかという取り組みとして、九州を中心に毎年30名程度の高校新卒者の採用を行っています。社会人経験が初めての方がほとんどで、親御さんから大事なお子様をお預かりするという社会的責任もあるので、戦力化まで丁寧なフォローを行っています。雇用区分も高校新卒者についてはオペレーターでも地域・職種限定正社員として採用しています。
クライアント側と業務要件を交渉する、提案するというのは、元アウトソーサーの私としても非常に共感します。アウトソーサーは魔法の杖ではなく、クライアント側と同様に人が働いているので、センターの最前線であるアウトソーサー側からもどんどん提案して、クライアントとアウトソーサーが一緒になって、大げさに言えばコンタクトセンター業界をよくしていく、働く人達を幸せにするといったことができればと思いました。完全在宅の布施さんのセンターでも、クライアントの入電トレンドとスタッフの就労ニーズのアンマッチはありますか。
コールトレンドに対して常にフレキシブルに動けるかというと、在宅でも難しいのが実情です。在宅だからいつでも働けるというイメージがありますが、在宅勤務者のニーズは、家族の介護をしたい、子供の面倒をみたい、ワーク・ライフ・バランスを考えて通勤時間を減らしたいということが多いので、シフト調整は意外と難航しており、そこはオフィスのセンターと変わらないと思います。
その中で在宅勤務だからということでは、時短勤務で給料が減ってしまうのは困るが、介護も必要という従業員がいて、本人が希望する場合に提供しているスプリット勤務、朝働いて、昼抜けて、夜また働くという働き方です。通勤がないことで可能なのですが、適用された方から非常に好評であるとともに、管理側としてもスプリット勤務の方がいることで、昼間のコールがあまり鳴らない時間帯に人が数多くいるといった状況が生まれにくくなるので、従業員にも会社にもフィットした制度になっています。元々は介護などがある方に推奨していましたが、現在では、単純に勤務を8時間ずっと続けるのがきついという方も対象としています。

